Googleアナリティクス(特に最新版のGA4)を使ってウェブサイトが成長しているか(伸びているか)、停滞・下降しているかを判断するには、サイトの目的やKPI(重要業績評価指標)に合わせて適切な指標を分析することが重要です。以下に、初心者でも理解しやすい手順と見るべきポイントを、具体的な方法とともに詳しく説明します。これにより、サイトの成長を客観的に評価し、改善の方向性を見つけられます。
1. サイトの目標(ゴール)とKPIを明確にする
サイトが「伸びている」かどうかを判断するには、まずサイトの目的を明確に設定する必要があります。目的が曖昧だと、どの指標を見ても成長の判断が難しくなります。
- 一般的なサイトの目標例:
- ブログ: ページビュー(PV)数増加、セッション数増加、新規ユーザー増加
- ECサイト: 売上(収益)、コンバージョン率(購入率)、カート追加数
- コーポレートサイト: 問い合わせ数、資料ダウンロード数、フォーム送信数
- オウンドメディア: 記事の検索流入数、滞在時間、SNSシェア数
- KPIの設定例:
- 月間セッション数: 10%増加
- コンバージョン率: 2%向上
- 自然検索(Organic Search)からの流入: 前年比20%増加
- 直帰率: 50%以下に抑える
手順:
- GA4の「管理」→「目標設定」で、サイトのゴール(例: フォーム送信、購入、ページ閲覧)を設定します。
- ゴールまでの導線(例: トップページ→商品ページ→購入)を確認し、どの指標が成長の目安になるかを決めます。
- KPIを数値化し、達成状況を定期的にチェックするスケジュールを立てます(例: 月次レポート)。
例: ブログの場合、「セッション数が月間1万以上」「PV数が3万以上」をKPIに設定し、これが増加傾向なら「伸びている」と判断。
2. 主要指標でサイトの成長をチェック
GA4では、以下の指標を重点的に確認することで、サイトの成長を評価できます。初心者は特に「ユーザー数」「セッション数」「ページビュー数」「コンバージョン率」に注目しましょう。以下に、見るべきポイントと判断基準を説明します。
(1) ユーザー数と新規ユーザー数
- 確認方法: GA4の左メニュー「レポート」→「ユーザー」→「ユーザーサマリー」
- 見るべきポイント:
- ユーザー数: サイトを訪れたユニークな訪問者数。増加傾向なら新規訪問者やリピーターが増えている証拠。
- 新規ユーザー数: 初めて訪れたユーザー数。新規ユーザーが増えていれば、サイトの認知度が上がっている可能性。
- 成長の判断:
- 前月比や前年同月比でユーザー数が増加→「伸びている」
- 新規ユーザーの割合が50%以上で増加傾向→「新規流入が強い」
- ユーザー数が横ばいor減少→「伸び悩み」または「下降」
- 注意: 新規ユーザーが多いがリピーターが少ない場合、コンテンツの魅力不足や導線の問題を疑う。リピーター増加にはメルマガやSNSでの再訪促進が有効。
(2) セッション数
- 確認方法: GA4の「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」
- 見るべきポイント:
- セッション数: ユーザーがサイトに訪問し、何らかの操作を行った回数。30分以上操作がない場合や日付が変わると新しいセッションとして計測。
- セッション数が増加していれば、サイトへのアクセス頻度が向上している。
- 成長の判断:
- セッション数が前月比で10%以上増加→「伸びている」
- 横ばいor減少→SEO対策や広告施策の見直しが必要
- 補足: セッション数の増加が広告頼み(Paid Search)の場合、広告費依存度をチェック。自然検索(Organic Search)の増加が理想。
(3) ページビュー数(PV数)
- 確認方法: GA4の「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」
- 見るべきポイント:
- ページビュー数: サイト内のページが閲覧された合計回数。PV数が多いほど、コンテンツが広く見られている。
- ページ/セッション: 1セッションあたりの平均ページビュー数。2以上ならユーザーが複数ページを閲覧している可能性。
- 成長の判断:
- PV数が前月比で増加、かつページ/セッションが1.5以上→「コンテンツが魅力的で伸びている」
- PV数が増えない、ページ/セッションが1に近い→「コンテンツ改善や導線強化が必要」
- 例: ブログでPV数が月間2万から3万に増え、ページ/セッションが1.2から1.8に上昇→「成長中」。
(4) コンバージョン率(キーイベント率)
- 確認方法: GA4の「レポート」→「エンゲージメント」→「キーイベント」(旧: コンバージョン)
- 見るべきポイント:
- キーイベント数: 設定したゴール(購入、問い合わせなど)の達成回数。
- コンバージョン率: 全セッションに対するキーイベントの割合(例: 1000セッションで10購入→1%)。
- 事前にキーイベントを設定する必要あり(例: 「購入完了」「フォーム送信」)。
- 成長の判断:
- コンバージョン率が1~2%以上で上昇傾向→「成果を上げて伸びている」
- セッション数は多いがコンバージョン率が0.5%以下→「導線やコンテンツに課題」
- 例: ECサイトでコンバージョン率が1%から1.5%に上昇→「成長」。逆に0.2%で横ばい→「改善要」。
(5) 直帰率とエンゲージメント率
- 確認方法: GA4の「レポート」→「エンゲージメント」→「概要」
- 見るべきポイント:
- 直帰率: 他のページを見ずに離脱したセッションの割合。低いほどユーザーが興味を持っている。
- エンゲージメント率: 10秒以上滞在、2ページ以上閲覧、またはキーイベント達成したセッションの割合(直帰率の逆)。
- 成長の判断:
- エンゲージメント率が60%以上で上昇→「ユーザーの関心が高く、伸びている」
- 直帰率が70%以上で横ばいor上昇→「コンテンツや導線に問題」
- 例: 直帰率が80%から60%に低下、エンゲージメント率が50%から70%に上昇→「成長中」。
3. 流入経路を分析して成長の質を評価
サイトの成長は、単に数字が増えるだけでなく、どのチャネルからの流入が増えているかで質も評価できます。GA4の「集客」レポートで確認します。
- 確認方法: GA4の「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」
- 主要チャネル:
- Organic Search: Googleなどの検索エンジン経由。SEO効果の指標。
- Direct: ブックマークやURL直接入力。ブランド認知度の指標。
- Social: SNS(Twitter、Facebookなど)経由。SNS施策の効果。
- Paid Search: 広告経由。広告投資の成果。
- Referral: 他サイトからのリンク経由。外部連携の効果。
- 成長の判断:
- Organic Searchのセッション数が前月比20%増加→「SEOが効いて伸びている」
- SocialやReferralが増加→「SNS施策や外部リンクが効果的」
- Paid Searchのみ増加→「広告依存度が高く、持続性に課題」
- 例: Organic Searchが月間1000セッションから1500に増加→「自然流入が増え、持続的な成長」。
補足: 検索キーワードの詳細はGA4単体では取得困難。Googleサーチコンソールと連携し、どのキーワードで流入しているかを確認。例: 「集客」→「Search Console」→「検索クエリ」。
4. 時系列で比較してトレンドを把握
成長を判断するには、過去のデータと比較してトレンドを見ることが不可欠です。以下のように期間比較を行います。
- 確認方法:
- GA4の右上「期間設定」で、比較したい期間を選択(例: 直近1ヶ月 vs 前月、前年同月)。
- 「ユーザー」「セッション」「PV」「キーイベント」の増減をチェック。
- 比較のポイント:
- 前月比: 直近の施策(例: 記事追加、広告出稿)の効果を評価。
- 前年同月比: 季節変動を考慮し、長期的な成長を判断。
- 曜日・時間帯の変動: ユーザーの行動パターンを把握(例: 平日夜にアクセス集中)。
- 成長の判断:
- 主要指標が前月比で5~10%以上増加→「順調に伸びている」
- 横ばい(±2%以内)→「停滞。施策強化が必要」
- 減少(-5%以上)→「問題あり。原因分析を急ぐ」
- 例: 2025年3月のセッション数が2万、2月が1.8万→「11%増で成長中」。2024年3月が2.5万なら「前年比20%減で下降」。
ヒント: GA4の「探索」→「ファネルデータ探索」で、ゴールまでの遷移(例: トップ→記事→問い合わせ)を可視化。どの段階で離脱が多いかを特定し、成長のボトルネックを洗い出す。
5. ページごとのパフォーマンスを分析
サイト全体の成長だけでなく、どのページが貢献しているかを確認することで、具体的な改善点が見えます。
- 確認方法: GA4の「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」
- 見るべきポイント:
- 人気ページ: PV数が多いページ。例: 特定のブログ記事が上位なら、そのテーマを強化。
- ランディングページ: ユーザーが最初に訪れるページ。直帰率が高ければ改善要。
- コンバージョン貢献ページ: キーイベントに至るページ。例: 商品詳細ページが購入に繋がっているか。
- 成長の判断:
- 人気ページのPV数が前月比で増加→「コンテンツが牽引し、伸びている」
- ランディングページの直帰率が70%以上→「入口ページの改善が必要」
- コンバージョン貢献ページの閲覧数が増加→「成果に直結する成長」
- 例: ブログ記事AのPV数が5000から8000に増加、直帰率が60%から50%に低下→「その記事が成長を牽引」。
アクション:
- 伸びているページ: 類似コンテンツを増やす、内部リンクを強化。
- 直帰率が高いページ: タイトルと内容の一致度をチェック、CTA(行動喚起)を追加。
6. サイト速度も成長の指標に
サイトの表示速度はユーザー体験とSEOに影響し、成長の間接的な指標となります。
- 確認方法: GA4の「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」で平均読み込み時間を確認。または、Google PageSpeed Insightsでスコアをチェック。
- 成長の判断:
- 平均読み込み時間が2秒以下、PageSpeedスコアが80以上→「速度面で成長を支えている」
- 読み込み時間が5秒以上、スコアが50以下→「速度が成長の足かせ」
- アクション: 画像圧縮、キャッシュ設定、サーバー最適化で速度改善。速度が1秒遅れるとコンバージョン率が7%低下する可能性。
7. 成長していない場合の原因分析と改善策
もし指標が横ばいor下降している場合、以下の原因を疑い、GA4で確認します。
- 原因例と確認方法:
- SEO効果低下: サーチコンソールで検索順位やクリック率を確認。キーワードの見直しやコンテンツ更新が必要。
- 導線の問題: 「ファネルデータ探索」で離脱ポイントを特定。例: 問い合わせフォームの設問が多すぎる場合、簡素化。
- ターゲットミスマッチ: 「ユーザー」→「ユーザー属性」で年齢・性別・地域をチェック。想定外の層が多い場合、コンテンツや広告を調整。
- タグ設定ミス: GA4の「管理」→「データストリーム」でタグが正しく動作しているか確認。タグ重複や未設定はデータ信頼性を損なう。
- 改善策例:
- 検索流入強化: 月間検索ボリューム1000~1万のキーワードを記事見出しに採用。
- 直帰率改善: ナビゲーションを簡素化、関連記事リンクを追加。
- 広告最適化: 直帰率が高い広告(例: GDN)のセグメントを見直し、ターゲティングを絞る。
8. 初心者向けの運用Tips
- 定期チェック: 月初に前月データを確認。GA4の「自動レポート」を設定すると楽。
- 簡易比較: 前月比だけでなく、前年同月比や競合サイト(SimilarWebなどで推定)と比較。
- サーチコンソール連携: GA4単体ではキーワード分析が弱い。サーチコンソールで検索クエリを補完。
- 学習リソース: GA4の使い方はGoogle公式の「アナリティクス学習リソース」(google.com/analytics/learn)で動画やガイドを参照。
具体例:ブログサイトの成長判断
状況:
- 目標: 月間セッション数2万、PV数5万、コンバージョン(アフィリエイトクリック)100件
- 2025年3月データ: セッション数1.8万、PV数4.5万、コンバージョン80件
- 2025年2月データ: セッション数1.5万、PV数4万、コンバージョン60件
- 流入: Organic Search 60%、Social 20%、Direct 15%、Referral 5%
- 直帰率: 65%、エンゲージメント率: 55%
判断:
- セッション数(+20%)、PV数(+12.5%)、コンバージョン(+33%)が増加→「伸びている」
- Organic Searchが主な流入源で増加→「SEOが効いている」
- 直帰率65%は高め、エンゲージメント率55%は改善余地あり→「コンテンツや導線の強化が必要」
アクション:
- 人気記事の関連コンテンツを増やす。
- 直帰率が高いランディングページにCTA(例: 「関連記事を読む」ボタン)を追加。
- サーチコンソールで高クリックキーワードを特定し、新記事を作成。
結論
Googleアナリティクス(GA4)でサイトが伸びているかを判断するには、以下を重点的に確認します:
- ユーザー数・セッション数・PV数: 前月比や前年比で増加傾向か。
- コンバージョン率: ゴール達成率が上昇しているか。
- 流入経路: Organic Searchなど持続的なチャネルが増加しているか。
- 直帰率・エンゲージメント率: ユーザーの関心度が向上しているか。
- ページパフォーマンス: 人気ページや貢献ページが増加しているか。
これらを時系列で比較し、KPI達成状況をチェック。伸び悩む場合は、サーチコンソールや「ファネルデータ探索」で原因を特定し、SEO、導線、広告を改善します。初心者はまず「ユーザーサマリー」と「トラフィック獲得」を週1回チェックし、月次でトレンド分析を始めましょう。
もしGA4の設定や具体的なレポートの見方がわからない場合、教えてください。管理画面のどの部分を確認するか、スクショ例を交えてさらに詳しく解説します!また、特定の指標(例: 検索流入のみ)に絞った分析方法もご案内可能です。
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